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サッカーフォーラム in 兵庫
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第二回「ピッチから見た世界のサッカー」
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第四回「世界のサッカー、頂点に立つのは?」
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第六回(最終回)「ようこそ世界のサッカー、市民みんなで盛り上げよう!」

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サッカーフォーラム in 兵庫
第四回「世界のサッカー、頂点に立つのは?」
■ファーストラウンド突破のための戦い方とは

――日本はH組を2位で通過すると、ここ神戸のウィングスタジアムでセカンドラウンド初戦を戦うことになります。ファーストラウンド突破のために、日本はどう戦って行けば良いでしょうか。

賀川:ファーストラウンド初戦は6月4日。どれほど暑いかが鍵でしょう。ヨーロッパや乾燥地帯から来るチームにとって、日本の蒸し暑さというのはものすごくつらいはず。日本選手もキツイでしょうけれど、毛穴の開き方など、体は慣れていますからね。

伊東:乱暴に言えば、70%は初戦にかかっていますよね。
 前回大会の(初戦の相手)アルゼンチンは、基本的には圧される展開を想定すれば良かったが、ベルギーは捕らえどころのないチーム。大会をファイナルステージまで見越して戦えるチームではありませんから、そのピークをどこにもってくるのか、それが重要です。いきなりトップギアでくるのか、それとも引き分け狙いなのか、勝ちに来るのか、全く分かりませんから、日本はゲームプランが立てにくい。
 鍵を握るのは采配をふるう監督ではなく選手個人。個々が先を読む力を持てるか、ピッチ上で修正できるリーダーがいるか、それが大事です。

増島:ピークをどこに持ってくるかは、非常に重要ですよね。各国リーグを戦い、フィジカルとメンタルを高く保ったまま大会に入ってくる選手もいる。
 私は、日本はピークを1戦目に持ってきて良いと思います。例えば前回と同じ1勝1敗1分けのプランだと、選手は10日以上にわたってピークを維持しなければなりません。それではきついでしょう。6月4日のベルギー戦に向け、フィジカルとメンタルのコンディションをいかに整えていくか、それが鍵の1つだと思います。

賀川:そう、とにかく初戦を勝たないことにはね。初めに負けてしまえば全てが追い込まれますから、初戦はとにかく勝ちに行く。悪くても引き分け。

伊東:ベルギー、ロシア、チュニジア、どこが初戦だろうが難しさは変わらないでしょう。前回より出場チーム数が増え、1次リーグ通過が各組2位までとなりましたから、リーグ突破の確率は4分の2になりました。初戦の重みは増すばかりです。



■ファーストラウンドの見どころは

――続いて、その他の組についてもお話頂きましょう。賀川さんが1番気になるグループはどこでしょうか。

賀川:F組の試合はどれも気が抜けなくて、やはり面白いでしょうね。スウェーデンも強いチームですが、ここが全敗して他が2勝ずつあげれば、2勝してもセカンドラウンドに進めないという可能性が出てくる。

伊東:確かにFは面白そうですが、こういうところは意外とあっさり決まってしまったりするんですよね。
 潜在的な混戦要素を持っているのは、Eだと思います。ドイツはかつての力がないもののしぶとくやってくるだろうし、アイルランドは嫌な相手。カメルーンは何をしてくるか分からない。サウジアラビアにも混戦につけ込む余地はあります。
 それからCですね。ブラジル対中国戦、100%の力でぶつかってくる中国を、今のブラジルがどう受け止めるか。この試合の結果によっては、トルコが絡んだ大混戦になる可能性がある。

増島:仕事に全く関係なく、ただぼーっと観ていても良いというのならBとCがいいですね。
 C組の中国には、66年の北朝鮮のような「アジアミラクル」を期待しています。今がっちり組んで戦ったら、ひょっとしたら日本は負けるかもしれない。何かそんな力が感じられます。
 20世紀のサッカーは南米やヨーロッパのチームが引っ張ってきましたが、今世紀はその覇権が別の大陸に移るような気がするんです。中国、トルコ、コスタリカ、ブラジル、この組はそうした変化の先端を行くグループであると思います。

 スロベニア、パラグアイ、南アフリカ、スペインのB組は、4チームとも彩りが全く違います。バラバラで噛み合わないサッカーというのは面白そうですよね。
 F組は「死のグループ」と言われますが、こういう組は案外まともに戦う。戦い方を知っているだけに、非常識な事は何も起こらないと思います。

――A組はいかがですか。

賀川:ず抜けているフランスを相手に、セネガルがどれだけ戦えるか。古豪と言われるウルグアイは最近低調傾向。デンマークは時々とても良くなりますが、今回はまぁまぁですね。何人か中心となる選手が出てくれば、デンマークは一戦ごと、試合が終わる度に別チームのように成長するでしょう。
 C組の気になるところは、中国が本気で(強化・育成を)始めたこと。足球学校と言うサッカー専門の学校まで作ったのですから、もう本気ですよね。10億もの人がいるのだから、これから色々な選手がどんどん出てくるでしょう。

――ファーストラウンドで注目している(対戦)カードはどこですか?

賀川:アルゼンチン対イングランドです。でも、こういった戦い方を知っているチームというのは、1つの大会の中にうまく山場を作ってきますから、それ以外の試合だと見所が減る可能性がある。とは言っても、そこらの試合よりはいいものを見せてくれるでしょう。 

伊東:僕はフランス対セネガル。「ミニ・フランス」と言われるセネガルと、堅牢な守備陣に陰りが見え始めてきたフランス。セネガルは「当たって砕けろ」の精神で来るでしょうから、ひょっとすると番狂わせが起こるかもしれませんよ。

増島:私はこれまでとは違った勢力の台頭に期待していますから、ブラジル対トルコ、ブラジル対中国といったカードが気になります。
 それから、「アフリカ=(イコール)身体能力」という表現をしてしまいがちですが、リールで私がみたセネガルは戦術が細かく、ディフェンスも組織的。一般的に言われるアフリカとは別モノでした。

 韓国の初戦、ポーランド戦も楽しみです。韓国のワールドカップの歴史は日本よりずっと長いですから、とにかく勝ち点3がほしい。初戦の相手がポーランドと決まった時のヒディンク監督のリアクションは面白かったですよ。ここを取ると落とすとでは全く違ってきますからね。
 H組は4チームが拮抗していますから、最後の最後まで分からない可能性があります。他の組はある程度展開が見える気がします。

賀川:日本が出場できずにいる間、毎回韓国を応援してきました。長年見ているうちに、韓国選手は後輩のような存在になっていますので、ぜひ頑張ってもらいたい。今回は自国開催で国民の期待も大きいですし、なんとか切りぬけてほしいものです。でもやはりポーランドはいいですからねぇ。



■賀川、伊東、増島氏の優勝国予想

――ここ神戸では、日本と同組のロシア対チュニジア戦、大激戦区・F組のスウェーデン対ナイジェリア戦、そしてノックダウン方式に入った後のC組1位対H組2位の試合、以上3試合が行われます。
 6月17日の第3戦は日本戦になる可能性があり、「日本対ブラジル」が神戸で実現するかもしれない。神戸の皆さんはやはり日本戦がみたいでしょうね。
 ではみなさん、最後に恒例の優勝国予想をしていただけますか。

伊東:組み合わせの関係で、僕のイチオシのフランス対アルゼンチン戦が無いのが残念です。ですからこの顔合わせは右側ブロックの準決勝。左側ブロックは、順当にいけばイタリア対ポルトガル、もしくはスペインでしょう。リアリズムでは、決勝はイタリア対アルゼンチンと予想しています。でも自分で本当に見たいのはフランス対ポルトガル。なんだか楽しそうでしょう。

増島:私の予想はブラジル。ファイナル・アンサーです。
 予選で最後の最後に勝った時のあのみっともなさ(笑)。あんなにも豪華なメンバーが、監督に走り寄り抱きついてワーワー泣いていた。あれはどん底でしょう(笑)。
 チームの高年齢化や、選手の所属するクラブの日程等を考えると、簡単には勝ちあがれないでしょうけれど、それでもああやって予選を勝ちあがってきたチームというのは強いと思います。優勝国に誰もあげていませんが、ブラジルは意外といいサッカーを見せてくれるのではないでしょうか。
 あの最終戦は、今年の予選の中で最も印象的でした。

賀川:僕はアルゼンチンに勝ってほしいです。
 しかしポルトガルのようなチームが頂点を極め、日本人に「間のあるサッカー」を見せてほしいという気持ちもあります。日本のサッカーはいつもせかせかと忙しいでしょう。忙しく走り回るだけではなく、「間」がいかに大切かという事を見せてほしいですよね。
 でもやはり、アルゼンチンです。あれだけうまい選手が揃ったチームが、実力通りうまく勝ち上がる姿というのを一度観てみたいです。

伊東:僕の予想はフランスの連覇。世代交代に失敗した感が若干ありますが、若手にいい選手がいるんですよ。ワールドカップの上位争いには、サッカー協会の組織、若手育成の強さが反映される。フランスはそれを十分に示すでしょうけれど、ブラジルはその点で不安があります。

―分かりました。賀川さんがアルゼンチン、伊東さんがフランスの連覇、増島さんがブラジルということですね。


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■伊東 武彦  週刊サッカーマガジン編集長
東京都生まれ。サッカー専門誌「イレブン」編集部を経て、90年にベースボールマガジン社に入社。91年から「サッカーマガジン」編集部の日本代表担当としてワールドカップ予選などの国際大会、米国、フランス・ワールドカップを取材。98年9月より「週刊サッカーマガジン」編集長。著書に「サッカーMONO物語」(ベースボールマガジン社)。


■増島 みどり  スポーツライター
神奈川県鎌倉市生まれ。日刊スポーツ記者を経て、97年からフリーの「スポーツ・ライター」として活動。雑誌、新聞などで執筆のほか、自身のホームページ「マスジマスタジアム」も運営している。(http://www.asahi-net.or.jp/~mu2m-msjm/stadium/)
著書に「6月の軌跡 98フランスW杯日本選手39人の全証言」(文藝春秋・文庫化)「醒めない夢」(ザ・マサダ)、「シドニーへ 彼女たちの42.195km」(文藝春秋)、「ゴールキーパー論」(講談社新書)。

■賀川 浩 スポーツライター
1924年、神戸市に生まれる。神戸一中、神戸経済大(現・神戸大)大阪クラブなどでサッカー選手。全国大会優勝、東西対抗出場、天皇杯準優勝などの経験をもつ。1952年からスポーツ記者、1975年から10年間のサンケイスポーツ編集局長(大阪)などを経て現在フリーランスとして、現役最年長記者。
1963年の兵庫サッカー友の会、1970年の社団法人・神戸フットボールクラブの創設メンバー。ワールドカップの取材8回、ヨーロッパ選手権5回、南米選手権1回。1974年から、サッカーマガジン誌上で大会ごとに「ワールドカップの旅」を連載、さらに同誌では2002年の開催前に「マイ・フットボール・クロニクル」として日本の歩みの連載を執筆した。
著者として『釜本邦茂ストライカーの戦術と技術』、監修として「ブライアン・グランヴィルのワールドカップストーリー」(新紀元社・2002年)、その他『サッカー日本代表 世界への挑戦』(新紀元社・2002年)にも執筆している。