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サッカーフォーラム in 兵庫
第一回「世界のストライカーと語る、世界のサッカー」
第二回「ピッチから見た世界のサッカー」
第三回「世界のサッカー、子供たちに夢を」
第四回「世界のサッカー、頂点に立つのは?」
第五回「世界への架け橋、サッカー!」
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サッカーフォーラム in 兵庫
第四回「世界のサッカー、頂点に立つのは?」
第四回「世界のサッカー、頂点に立つのは?」
日時:2001年12月14日(土) 19:00開演
会場:兵庫県県民会館「けんみんホール」
主催:兵庫県サッカー協会、神戸新聞社
共催:神戸青年会議所、ディリースポーツ社、サンテレビ、AM神戸
後援:兵庫県、兵庫県教育委員会、神戸市、神戸市教育委員会
協力:ヴィッセル神戸、FCJAPAN

第四回はサッカーマガジン編集長である伊東武彦氏と、スポーツライターの増島みどり氏をゲストに、日本の対戦国をはじめ、ワールドカップの魅力、見どころ、そしてテーマである優勝予想を語っていただきました。


■悲喜こもごもの組合わせ抽選会
■三者三様、対戦国分析
■ファーストラウンド突破のための戦い方とは
■ファーストラウンドの見どころは
■賀川、伊東、増島氏の優勝国予想


 

■悲喜こもごもの組合わせ抽選会

――ワールドカップまで半年を切り、日本の対戦相手はベルギー、ロシア、チュニジアと決定しました。
 増島さんは先日韓国で行われた抽選会を会場で取材をされていたそうですが、会場の様子はいかがでしたか。

増島みどり(以下、増島):やはり何といってもF組ですね。どの監督も「終わった」という暗い顔。イングランドのエリクソン監督も全然笑えない雰囲気でした。ナイジェリアもスウェーデンもアルゼンチンも、監督の顔がひきつっていて顔面蒼白。対してH組は、「これは(ファーストラウンドを)抜けるぞ」と、監督がみんな笑いをかみ殺しているんですよ。悲喜こもごも、それが32ヶ国に顕著に表れていて、監督らの表情が本当に面白かったです。

賀川浩(以下、賀川):H組は悲喜こもごもではなく、どの監督も喜んでいたでしょう。トルシエ監督も他の監督同様、腹の中では「しめた」と思っていますよね。

伊東武彦(以下、伊東):最後にナイジェリアが入る可能性がありましたが、来なかったのでよかった!
  でも、どこもそう思っている。勝てると思っていたジャマイカ戦敗戦という4年前の教訓もありますし、初戦のキックオフの時まで予断を許しません。コンディション、ケガ、監督のバイオリズム、それら全てを含んでの勝負ですから、半年前にうかつな事は言えないなというのが前回フランス大会の反省です。

増島:そう、始まってみなければ分からない。各国分析をいくらしても、キックオフの瞬間に変わっている可能性がある。面白い組だとは思いますが、どうなるかを占うのは難しいですね。



■三者三様、対戦国分析

――ではここで、対戦各国をひとつずつ分析したいと思います。まずはベルギーです。

賀川:「どこの国がどういうサッカーをする」と区分しても、結局はプレーする選手によります。しかしそれでも、1つの傾向というものはありますね。
 ベルギーは、北のゲルマン系と南のフランス系、両方の文化にまたがった国。言語や人種の問題をうまく調和を取ってきた、その調整力はEUの中でも優れています。
 サッカーも非常に柔軟。日本人とは考え方が全く違い、自由なサッカーをします。
 
  86年は1次リーグを1勝1敗1分けでギリギリで抜け出したのに、同リーグで健闘し「74年のオランダの再来」と呼ばれたソ連とのセカンドラウンド1回戦を延長で勝利しました。
 組織的でスピードのあるソ連の攻撃をじんわり防ぎ、長い足を活かして中盤のスペースを広げてドリブル突破。自分たちの特性を活かして前近代的なサッカーをし、結局ベスト4まで進みました。その次の試合を延長PK勝ちしていることからも、際どく勝ってくるチームと言えますね。

伊東:ベルギーは変幻自在というイメージです。
 86年のチームはシーフォやクーレマンスというタレントがおり、右サイドバックにゲレツという攻撃的なチームでした。昨年のキリンカップでは左右からのパワフルな攻めが目立っていましたが、今回の予選を戦ってきたチームはそのどちらでもありません。しかし全体的には、ゲレツやクーレマンスの末裔というか、流れが見られますね。歴史を踏まえながら変化し続けるベルギーは、一言で言うと本当に"とらえどころのない"チームですよね。

増島:私はシーフォのようなプレイヤーが好きなので、ベルギーというとシーフォをイメージします。
 抽選会の際、ワセージュ監督は「(今回のワールドカップで)どんなものを示したいか」という問いに「どんなものにでも対応できるという事を示したい」と答えており、「変幻自在」という事をチームの特色としてあげていました。

――続いてロシアについて分析をお願いします。

賀川:ソ連時代から、サッカーの超大国です。ソ連が崩壊した今、ロシアは本家筋。成績は上がっていませんが、経済も上向きになってきましたし、見応えのあるチームが出てくると思いますよ。

伊東:前回出場した94年の米国大会よりは、間違いなくいいチームでしょう。モスクワ系の選手が中心の今回は、旧ソ連の"フィジカル・エリート"というイメージではありません。中盤のチトフは足の裏をうまく使ってテクニックを見せますし、その後ろのモストボイは90年代に天才と言われたテクニカルな選手です。右に出てくるカルピンもいい。旧ソ連のイメージで臨むととんでもない事になるでしょう。
 選手達はソ連崩壊後、スペインなど西側で経験を積みました。かつては1本調子のチームでしたが、今はゲームの流れをコントロールできる怖さがあります。

増島:ロシアのカウンターの速さは半端じゃない。カウンターは日本ではあまり評価されませんが、あの速さには何か歴史上あるんですかね。
 崩壊後、海外へ出てプレーする選手が増えましたし、ロシアには物事が崩壊した後に何かが再結成される、そういった面白さがあります。

賀川:昔のソ連は緊張感の持続やリラックスの仕方が下手で、ファーストラウンドで調子が良くてもセカンドラウンドに入ると腰砕けだったりしましたが、今は選手が若いうちから海外に出るようになり、西洋スタイルに慣れましたよね。
 バレエを見ても分かるように、スラブ系の人々は元来とても繊細。アイスホッケーでも、アメリカやカナダは激しいボディチェックが特長ですが、ロシアはスティックワークを大事にする。サッカーも技巧的です。

――さて、最後はチュニジアについてお願いします。

賀川:アフリカとは言っても、彼らは地中海のアフリカ。ですからカメルーンのエムボマのようにビックリするような身体の選手はいません。ですから、先日試合をしたセネガルのように、身体能力の差だけでガッカリさせられる事はないと思っています。選手のヨーロッパ進出も少ないですね。
 しかしアンリ・ミシェル監督も、「このグループならなんとか(行けるだろう)」と思っていることでしょう。

――海外に出ずに国内リーグで活躍する選手が多いと言う事は、結束力が強いということではないのでしょうか。

伊東:そうかもしれませんね。最近新たにディフェンダーの選手がヨーロッパチームに出ましたが、それまでは国内の選手が中心でした。
 現在はツートップの選手が国内でぐんぐん伸びているようです。チュニジアは基本的には守りに徹してカウンターを狙うスタイルだから、この2人が化けると日本も一筋縄ではいかないんじゃないかな。

増島:先日、誰よりも早く偵察をしてきました。
  カードはイタリアセリエBのモデナ対ジェノア。ジェノアはかつてカズがいたチームです。監督は当時のままで、現在チュニジア代表の監督も務めているスコーリオ。彼はチームに5人もの代表を入れていましたね。
 それから、選手たちは意外と体が大きかったですね。ディフェンス陣は特に大きいにもかかわらず、しなやかなプレーをしていました。
 試合開始は月曜日の夜、午後8時45分、マイナス4度(笑)。マイナス4度の中、セリエBで戦っているチュニジアというのは予想外でした。「極寒のなか90分間試合をしていた」と、帰国後にあるJリーガーに話したところ、「そんなの絶対できないよ」と言っていました。そういう、私たちにはわからない強さがチュニジアにはあります。
 最近こぞって各国の代表分析がなされますが、ベースをどこに置いているかは測り切れない部分。今回はそれを見た気がしますね。


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